第1条 基本理念
医療現場では、医療従事者の不注意や不可抗力等(ヒューマンエラー)が、予期しない状況や望ましくない事態を引き起こし、患者様の健康や生命を損なう結果を招くことがある。一方、医療従事者の不注意や不可抗力等を完全になくすことは、現実的には不可能である。
そこで、当院職員が、単独あるいは重複して起こした不注意や不可抗力等が、医療事故(診療の過程で患者に発生した望ましくない事象)という形で患者様に実害を及ぼすことのないような仕組みを構築する必要があり、医療法第6条の12及び医療法施行規則第1条の11の規定に基づき、本指針を定める。
当院職員ひとりひとりが医療行為等の具体的な場面で、患者様及び自身を医療事故から守るために最大限に注意を注ぐべき対策と、当院全体として組織的に取り組むべき医療事故防止対策、さらに、事故防止にとどまらず積極的に医療安全を推進する方策を示し、職員個人と当院全体を統合して、医療安全管理体制を確立することを目指す。その結果、安全かつ質の高い医療を提供し、ひいては、患者様ひとりひとりの安心と満足に資するようでなくてはならない。
<補足>なお、本指針で使用する主な用語の定義は、以下のとおりとする。
(1)職員とは、当院に勤務する医師、事務職員等、全職員をさす。
(2)医療事故とは、診療の過程で患者様に発生した望ましくない事象をいい、当院職員の過失の有無は問わず、不可抗力と思われる事象も含む。
(3)アクシデントとは医療事故をさし、インシデントとは危うく事故になりかけた事例をさす。
第2条 医療安全のための体制
第1条の基本理念を具現化し、医療安全を推進し医療事故を防止するため、管理者・院長が医療安全管理者として全職員を統率し、以下を整える。
- (1)医療安全を推進し医療事故を防止するための「報告」体制
- (2)医療安全を推進し医療事故を防止するための「研修」の実施体制
- (3)医療安全管理のための指針・マニュアルの策定・見直し
- (4)医療事故発生時の対応と医療事故の調査
- (5)患者様等への情報公開
- (6)患者様等からの相談への対応
第3条 医療安全を推進し医療事故を防止するための「報告」体制
1.当院職員は、アクシデント・インシデントが発生した場合、速やかに所定の書式(原則として報告書式1を用いるが、ワードなど電子書面でも可とする)で報告書を作成し、管理者に提出する。
2.管理者は、アクシデント・インシデントを一元化し、評価、分析することにより、アクシデント・インシデントの再発防止のための改善策を提示する。改善策は当院職員に速やかに周知する。
3.アクシデント・インシデントの報告によって、報告した当院職員は何ら不利益を受けない。
4.アクシデントレポート、インシデントレポートは、報告日(当レポートに記載された日)の翌日から5年間保管する。
第4条 医療安全を推進し医療事故を防止するための「研修」の実施体制
1.医療安全の推進と医療事故の防止のために必要な知識・技術・態度を、当院職員に周知するため、研修会を開催する。また、研修会参加により、当院職員が医療安全推進、医療事故防止に向けて自主的に意欲を高め活動できるようでなくてはならない。
2.管理者は、上記1項の研修を、年2回開催する。また、重大事故発生後など、必要があると認めるときは、臨時に研修を行う。
3.管理者は、新たに採用された当院職員に、医療安全推進と医療事故防止のために必要な知識・技術・態度を教育する。
4.研修は、医療安全支援センターなどが主催する外部研修、外部講習参加者からの伝達講習、院内での事例分析、外部講師を招聘しての講習や、有益な文献の抄読などの方法によって行う。
5.当院職員は、研修が実施される際には極力、受講するよう努めなくてはならない。
6.管理者は、研修を実施したときは、概要(開催日時、出席者、研修項目)を記録し、2年間保管する。
第5条 医療安全管理のための指針・マニュアルの策定
医療安全を推進し、医療事故を防止する上で必要な理念、手順を明確化するために、以下の通り、指針・マニュアルを整備する。当指針・マニュアルは、必要に応じて改正し、その都度、当院職員に周知する。
- (1)院内感染対策指針(院内感染対策マニュアルも含む)
- (2)医薬品安全管理指針
- (3)医療機器安全管理指針
- (4)その他
第6条 医療事故発生時の対応と医療事故の調査
1.救命措置の最優先
医療事故が発生した場合、当院の総力を結集し、患者様の救命と被害拡大の防止に全力を尽くすことを最優先とする。また、当院のみでの対応が不可能と判断された場合には、遅滞なく他の医療機関の応援を求め、患者様に、必要なあらゆる情報・資材・人材を提供する。
2.管理者への報告など
上記1項の目的を達成するため、事故の状況、患者様の現在の状態等を、管理者へ迅速かつ正確に報告する。報告した職員は、その事実及び報告の内容を、診療録、看護記録等、自らが作成すべき記録、帳簿等に記録する。
3.患者様・ご家族への説明
管理者は、事故発生後、救命措置の遂行に支障をきたさない限り可及的速やかに、事故の状況、現在実施している回復措置、その見通し等について、患者様ご本人、ご家族等に誠意をもって説明する。患者様が事故により死亡した場合には、その客観的状況を速やかに遺族に説明する。説明した職員は、事実と説明内容を、診療録、看護記録等、自らが作成すべき記録、帳簿等に記録する。
4.事故後の対応
患者が死亡した等の重大な医療事故が発生した場合、上記1項の規定に従うとともに、管理者は、医療事故の原因を、一切の利害関係を排除し客観的に究明し、再発を防止する方策を策定する。
第7条 患者様等への情報公開
安全かつ質の高い医療を提供し、患者様ひとりひとりの安心と満足に資するため、当院は、患者様、ご家族等の求めに応じて、医療情報を共有し、医療安全管理指針及び第5条に定めた指針・マニュアルを公開する。
第8条 患者様等からの相談への対応
病状や治療方針などに関し、患者様、ご家族等からの相談に対しては、管理者が誠実に対応する。その内容、経緯を職員と共有する。
第9条 医療安全管理指針の周知と改正
管理者は、本医療安全管理指針の内容を全職員に周知徹底する。また、必要に応じて改正し、その都度、全職員に周知する。
馬車道すずきメンタルクリニック管理者・鈴木 雄壱
令和6年11月1日 制定
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