心の健康 七条
葛藤を素直に認める
葛藤を抱えて、不安や焦燥、怒りや悲しみに暮れてしまうのは、人間の性根(しょうね)です。感情が生じてしまうのは、致し方がありません。ならば、と、辛い感情を、厄介者よろしくねじ伏せ、排除し、見て見ぬふりをするのをやめて、むしろ寄り添って、慈しんでみました。
「先方のひとことに、どうも、いらいらしてしまっている」
「どっちつかずで、不安に駆られる。どうしたものか」
「理不尽だ。怒りのやり場がない。うちふるえてしまう」
感情を言葉に託すうちに、「やむをえない。だれだって、この状況には抗いようがない」、「そうだったか、周りに認めてもらいたいだけだった」、「幼い時、一方的に言い含められた、あの不全感、虚無感そのものではないか」と、手前の事情が千々に照らし出されてきました。
弱みを曝してみたところ、辛い感情を握り離さずにいた手がおのずと緩み、感情のままにふるまってしまいそうな衝動を、制する余裕がわいてきました。
辛い感情こそ、満身創痍の「等身大の自己」を、自らいたわる手がかりでした。
心の健康 八条
灰色のものは
灰色のままに
理想に走るあまり完璧主義に陥ると、他者、自身をも厳しく急きたて、「いま、ここ」が不安に満ち満ちて、安心して素でいられる場を見失い、生きた心地がしません。

Y. Suzuki with AI
白黒に判別しようと、理想に歪められた尺度を振りかざせば、「灰色」を“ご都合主義”で振り分けかねません。理想はとどのつまりはひとつの価値であって、旗幟鮮明にすればするほど、各々の“ご都合主義”が乱立しましょう。
柾目ばかりが材木ではありません。節も曲がりもある板目を生かしてこそ、材木の用途が広がります。曲がった原木から、柾目にこだわり切り出し続ければ、無駄ばかりです。曲がったものとして見抜いたところに、曲がったなりの持ち味を見いだせます。
自身も含めて“曲者”ばかりです。曲者を“正直者”に矯め直そうとしたところで詮なく、曲がった見方しかできない自身に気づく労こそ、功を奏しましょう。
理想もしょせんは“ご都合主義”、曲がっていました。
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